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雪割草 夏場の管理

普通よりちょっといいユキワリソウの画像

雪割草(ゆきわりそう)とは

雪割草(オオミスミソウ、Hepatica nobilis var. japonica f. magna)はまだ雪の残る早春に花を咲かせ、可愛らしい姿と美しい花の多様性で私たちを楽しませてくれます。4月にはだいたい花が終わり、つぎの生長サイクルに移りますが、同じ時期に花を咲かせるカタクリやイチゲといった多くのスプリング・エフェメラルとは違い常緑で常に葉が残る植物です。また自生地は高冷地、寒冷地ではなく、高山植物ではありません。新潟の平地に育つ植物で、本来は丈夫で育てやすい植物です。

ただし上手に育てるにはそれなりのこつがいります。また人によってはとても難しい、毎年枯れてしまうという人もいます。多くの場合、夏場の管理で失敗しているように思います。ここでは毎年うまく咲かせられるよう、基本的な夏場の管理を説明したいと思います。

日差しを避ける!

何度も何度もいっているとおり、雪割草は夏の間直射日光はいっさい必要ありません。いっさい必要ありません。午前中だけ日が当たるとか、西日が射すとか、木漏れ日程度の日差しとか・・・全て不要です。何度もいいますが直射日光はいっさい必要ありません。 雪割草の自生地では、5月半ば頃から高さ数十㎝程度の下草が伸びてきて地面は見えないくらいに覆われます。雪割草はそんな場所の地べたに生えていますので、当然6月から10月ごろまで日は当たりません。

逆に同じ時期に日当たりの良い場所には、雪割草は生えていません。もともと夏に日の当たらない暗い場所に生えているので、直射日光は不要、かえって害になるのです。

では5月半ばくらいから10月ごろまでどうやって日除けをするか。例えば、棚上に並べてあるのなら棚下に移すだけでもかなり効果があります。また寒冷紗を使うのもいいと思います。いろいろな物が販売されているので、大きさなど自分に合った物を使えばいいと思いますが、100%遮光が理想ですので、例えば60%の遮光率のものなら二重にするのも良いと思います。午後の西日もなるべく当てないようにします。ダイオフララという壁掛け型の遮光材や、すだれなどを使うといいでしょう。 庭に植える場合は、垣根の脇や木の根もとなど、最初から日陰になる場所に植えます。秋に落ち葉が積もるのも問題ありませんが、水が溜まるのは苦手なので地面の下がったところはやめましょう。

なお直射日光が不要というのは、紫外線不要ということです。蛍光灯や何かの灯りで明るくする分にはとくに問題ありません。

ダイオフララ

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夏場の肥料はやらない!

とはいえ、完璧な100%遮光ができず多少日が当たるのも仕方ない場合があるかと思います。そういうときのためにも、春の肥料をきちんとやっておきましょう。春に肥料をやって丈夫な葉に育っていれば、多少の日差しには耐えてくれます。

今更言われても遅いよ!という場合。暑くなってから肥料をやっても、おそらくかえって根を傷め、具合が悪くなると思います。基本的な遮光ができていれば問題はないはずですので、施肥は秋まで我慢しましょう。

なおおすすめの肥料はバイオゴールド、グリーンキングです。安い化成肥料も良いのですが、内の場合ハウス内で化成肥料を雪割草に使うと少し害が出ます。屋外の場合は問題ないようです。ハウス内は気温が高くなるので、一気に成分が流出するせいかなと思いますが、原因は分かりません。グリーンキング、バイオゴールドではそうした害はありません。この辺は栽培環境でだいぶ変わると思いますので、最初は少しずつ試して一番あっている肥料を探してみてください。

水やりをし過ぎていないか注意!

さて、一番肝心なのが水やりです。みなさんはどれくらいの頻度で水をやっているでしょうか。暑いから毎日やっている?

中越植物園では、真夏でも水を毎日やることはほとんどありません。というのも、鉄則通り日陰に置いておくと、案外乾かないからです。ハウス内の温度が40℃になっていても、棚下や寒冷紗の下にいるので熱風で水分を奪われることがない。また植物が小さいため雪割草自身の蒸散作用もそれほど大きくない。そのため、夏の雪割草は意外と水持ちのいい状態になっています。

こうした状況で毎日水をやると、二つの害があります。一つは、過剰な蒸れで葉が痛んだり、灰色カビ病などの病気がつくこと。もう一つは、水が多すぎて根が傷むこと。風もなく常にじめじめしていると、どうしても葉がよどれてしまったり、病気がつきやすくなります。風通しを良くし、一度水をやったら速やかに乾くような状態にしましょう。また根が傷むのは、土が乾く時間がないほど水をやるからです。土の中はある程度乾燥しているのが基本です。土が水を含み、根がそれを吸い上げ再び乾燥する。このサイクルが大切。常に水があると根が窒息してしまい、黒ずんで傷んできます。すると、その根から水をもらっていた葉もやがて痛んできます。この影響は秋に出てきます。秋に葉が痛んでくる原因の多くは、実は夏場の根痛みにあることが多いのではないかと思います。

乾いたらたっぷりやる!

乾くまではやらない。乾いたらたっぷりやる。たっぷりやるというのは、鉢底から水があふれ出るまでやり続けることです。たくさんあるからといってざっと表面をぬらすだけでは、かえって害になります。分かっていても実際に水やりをすると意外なほど足りていないことが多くあります。長い間株分けをしていない鉢や、ぎっしり詰めておいてあって葉が密生している場合などは水やりに注意が必要です。こうした状態だとなかなか水が通りにくく、普通にやっているだけでは根本まで水が届いていないことがあります。葉が重なり合って土までなかなか届いていないとか、棚の端っこにある鉢にいつも水が届いていないとか、やっているつもりでもやれていないことがよくあります。なるべくなら一鉢ずつ確認しながらやる位のつもりで、本当にたっぷりと水をやってください。

それから、あまり蒸れすぎるのは害になりますが空中湿度が高いのはいいことです。また乾燥しすぎても、ハダニがついたりすることがあります。そのバランスが難しいところですが、直接植物に水をかけず周りの地面に水を撒いたりしてある程度の湿度を保ち、温度を少しでも下げるのは植物にとっていいことです。

早朝か夕方に水やりができればベスト。

水やりは早朝、または午後。お昼近くは熱くなりすぎて、できれば避けたいものです。ただし雪割草はおそらくそれほど熱くならない場所にあると思いますので、水をやる時間帯についてそれほど神経質になる必要はないかも知れません。

以上の点に注意して、できる範囲で育ててみましょう。雪割草は夏も地上部があるので、なにか変化があれば見た目でわかります。少しくったりしてきてから水をやっても十分間に合います。うまくいけば秋にぐんぐん芽が太りだします。それまで慌てずにじっくり管理しましょう。

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